
iPhoneの画面をiPadに映したいのに、近くにWi-Fiルーターがない。外出先や車の中、出張先などで、そんな状況に困ったことはありませんか。
「Wi-FiなしでiPhoneの画面をiPadに映す方法」は、実はいくつかあります。
一番確実で分かりやすいのは、ケーブルを使う方法です。有線ケーブルやHDMI変換アダプタ、USB-C対応のiPadとキャプチャ機器を組み合わせれば、ネット環境がなくても画面を映すことができます。
そのほかにも、iPhoneのテザリング機能を使って一時的に同じネットワークを作り、画面を映すアプリを使う方法や、ミラーリング専用のアプリを使う方法があります。また、FaceTimeの画面共有機能を応用する、少し裏技的な方法もあります。
ただし、Bluetoothだけでは画面を映すことはできませんし、設定の許可や機種の相性が原因でうまく映らないこともあります。動画を再生すると画面が真っ黒になるケースもあるため、事前に知っておかないと失敗しやすいポイントです。
この記事では、Wi-Fiがなくても現実的に使える方法を、必要な機材や手順、注意点とあわせて分かりやすく整理して解説します。
この記事で分かること
- Wi-Fiなしで使えるミラーリング手段の全体像がわかる
- 有線HDMIとキャプチャで確実に映す方法がわかる
- テザリングやアプリで手軽に映すコツがわかる
- 映らない・黒画面・遅延の対処がわかる
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iPhoneの画面をiPadにWi-Fiなしで映す方法まとめ

有線ケーブルで画面を映す手順
Wi-Fiなしで安定して映したいなら、有線が最優先です。ポイントは、iPadは基本的に映像入力端子として使えないため、HDMIの映像をそのままiPadに挿しても映らないことです。そこで、HDMIの映像をUSB映像入力(UVC)として扱えるキャプチャデバイスを挟み、iPad側は外部入力を表示できるアプリで受けます。
流れとしては、iPhone → HDMI出力 → キャプチャデバイス → iPad(表示アプリ)という形になります。iPadOS 17以降ではUVC入力に対応した前提で、この手の表示アプリが成り立ちます。App Store+1
ざっくり手順のイメージ
- iPhoneにHDMI変換アダプタを装着
- HDMIケーブルでキャプチャデバイスへ接続
- キャプチャデバイスをiPadのUSB-Cへ接続
- iPadで表示アプリを起動し、入力映像を表示
この方法の良いところは、Wi-Fiなどのネット環境がまったく不要なことと、画面の動きが遅れにくく、操作にすぐ反応してくれる点です。
一方で、ケーブルや変換アダプタなど必要な機材が増えることや、動画配信サービスなど一部の動画が映らない場合がある点には注意が必要です。
HDMI変換アダプタの選び方
有線方式でつまずきやすいのが、アダプタ選びです。iPhone側の端子がLightningかUSB-Cかで必要なアダプタが変わります。この記事の前提はiPhone→iPadですが、iPhone側がLightningならLightning to HDMI系、USB-CのiPhoneならUSB-C to HDMI系が候補になります。
選ぶときの基準は次の3つです。
1) 給電の有無
長時間映すなら、給電しながら使えるタイプが便利です。ミラーリング中はバッテリー消費が増えやすく、途中で切れると作業が止まります。充電しながら使える構成にしておくと安心です。
2) 出力の安定性
安価な互換品は相性で映像が途切れたり、音声が出なかったりすることがあります。会議や授業で使うなら、安定性重視で選んだ方が後悔しにくいです。
3) 目的が動画視聴か作業共有か
動画視聴が主目的の場合、アダプタ自体は正常でも、配信アプリ側の制限で黒画面になるケースがあります。作業共有や操作説明が中心なら有線が強い一方、動画視聴はiPad側で公式アプリ再生に切り替える方がスムーズです。
USB-C対応iPadでの接続条件
有線でiPadを受け側にする場合、USB-C対応のiPadがほぼ必須になります。理由はシンプルで、キャプチャデバイスの多くがUSB接続で、iPad側がUVC入力を受け取れる環境が必要だからです。
さらに、表示アプリ側にも要件があります。たとえば外部入力表示をうたうアプリでは、iPadOS 17以降とUSB-C iPadが必要と明記されているものがあります。App Store+1
よくある勘違い
USB-Cハブに付いているHDMI端子をiPadの入力として使おうとするケースがありますが、一般的にハブのHDMIは出力用です。つまり、iPadの画面を外部に映すための端子であって、外部のHDMIをiPadへ入れる用途では使えません。入力はキャプチャデバイスが担当します。
表示アプリの選択肢
外部入力の表示アプリとしては、UVC入力を前提にしたものが選択肢になります。たとえばOrionのように、iPadをポータブルHDMIモニターのように使う発想のアプリもあります。App Store+1
テザリングを使った接続方法
Wi-Fiルーターがないだけで、iPhoneのモバイル通信が使えるなら、テザリングでiPadをiPhoneにぶら下げるのが現実的です。iPhoneを一時的な親機にして、iPadを同じネットワーク内に入れます。ここまでできると、同一ネットワークが条件のアプリや仕組みが動かしやすくなります。
流れは次の通りです。
- iPhoneの設定でインターネット共有をオン
- 表示されたパスワードでiPadをiPhoneのホットスポットに接続
- 接続が安定したら、ミラーリングアプリや受信アプリを起動
ここで大事なのは、テザリングはネット接続のためだけでなく、同一LANを作る意味でも役に立つ点です。インターネットそのものが弱くても、近距離の通信が安定していれば画面転送が成立しやすくなります。
一方、通信量が増えやすいので、外出先で長時間使うときはデータ残量にも注意が必要です。
AirPlay受信アプリの使い方
iPhoneの画面をAirPlayで飛ばす発想は分かりやすいのですが、iPadは標準ではAirPlayの受信機として動かないことが多いです。そこで、iPad側にAirPlay受信アプリを入れて、受信機として振る舞わせます。
使い方の基本は次の流れになります。
- iPhoneとiPadを同じネットワークに入れる(テザリングでも可)
- iPadで受信アプリを起動して待機
- iPhoneのコントロールセンターから画面ミラーリングを開く
- ミラーリング先としてiPad(受信アプリ側)を選ぶ
この方式は手軽ですが、ネットワーク品質の影響を受けやすく、遅延が増えることがあります。操作説明や資料共有には十分でも、ゲームや反応速度が必要な用途だと不満が出やすいです。安定性優先なら、やはり有線の方が読みやすい結果になりがちです。
ミラーリングアプリの比較
Wi-Fiなし環境で選びやすいように、代表的な方向性を整理します。ここでは、テザリングで同一ネットワークを作って使うタイプと、端末間の直結を売りにするタイプ、そしてインターネット経由の画面共有タイプに分けて考えると迷いにくいです。
| 方式 | 必要なもの | 強み | 弱み |
|---|---|---|---|
| 有線HDMI+キャプチャ | アダプタ、HDMI、キャプチャ、表示アプリ | Wi-Fi不要で安定、遅延小さめ | 機材が多い、DRMで黒画面の可能性 |
| テザリング+受信アプリ | iPhoneのテザリング、受信アプリ | 準備が軽い、無線で完結 | 電波次第で不安定、遅延が出やすい |
| 直結型ミラーリングアプリ | 専用アプリ(例 DeskIn系) | ルーター不要を狙える | 初期設定や相性、課金要素 |
| FaceTime画面共有 | FaceTime、通信環境 | Apple標準で始めやすい | 通信量、遅延、通話設定が必要 |
どの方法が最適かは、「確実性を取るか」「手軽さを取るか」「通信量を許容できるか」で決まります。迷ったら、有線を第一候補にしつつ、状況に応じてテザリング+アプリへ切り替えるのが現場では運用しやすいです。
iPhoneの画面をiPadにWi-Fiなしで映す際の注意点

DeskInやApowerMirrorの設定
アプリ方式は、機材が少なくて済む反面、初回の設定で止まりやすいです。特にiPhone側は、画面配信が画面収録(ブロードキャスト)を使う仕組みになっていることが多く、許可が不足すると映像が出ません。
DeskInの考え方
DeskInは、端末間の直接接続でWi-Fiなしでも動くことを強みにした情報が出ています。DeskIn+1
ただし実運用では、初回ログインやアカウント登録、ネットワーク状態によって挙動が変わることがあります。オフライン前提で使うなら、出発前にアプリ起動とペアリングまで済ませておくと安心です。
ApowerMirrorの考え方
ApowerMirrorはミラーリング用途として広く知られており、iOS同士でも動作する旨が案内されています。App Store+1
ただ、同一ネットワーク前提の使い方になりやすいので、Wi-Fiルーターがない場合はテザリングでiPadをiPhoneに接続してから始めるのがスムーズです。
- iPhone側で画面収録のブロードキャスト開始が必要
- ローカルネットワークアクセスの許可がオフになっている
- iPad側アプリが入力待機状態になっていない
- バックグラウンド制限で接続が切れる
アプリ方式は、動き始めると便利ですが、事前準備の差がそのまま成功率の差になります。
FaceTime画面共有の使い道
Wi-Fiなしでも、通信ができるならFaceTimeの画面共有はかなり堅実です。FaceTime通話中に画面共有を開始する手順は、Appleの案内でも「その他」メニューからScreen Sharingを選び、Share My Screenで始まる流れが示されています。Appleサポート
使いどころ
-
- 近くのiPadにiPhone画面を見せて説明したい
- 有線機材がないが、通信は確保できる
- Apple標準だけで済ませたい
注意点
FaceTimeは通話扱いなので、音声がハウリングしやすいです。2台が近い場合は、iPad側の音量を下げるか、マイクをミュートすると快適になります。
また、SharePlayや画面共有は参加者全員が対応バージョンであることが前提になりやすいので、OSが古いと開始できないことがあります。Gadget Hacks
外出先で試す前に、両方の端末を最新寄りにしておくと安心です。
Bluetooth接続が使えない理由
Wi-Fiなしという条件だと、Bluetoothで何とかしたくなりますが、Bluetooth単体で画面ミラーリングを成立させるのは現実的ではありません。理由は、画面をリアルタイム転送するには通信量が大きく、Bluetoothは主に音声や周辺機器用途のプロファイルが中心で、画面転送の主役には向きにくいからです。
Bluetoothが役立つ場面があるとすれば、テザリングの補助や機器のペアリング程度です。画面を滑らかに映したいなら、次のどちらかに寄せる方が結果が出やすいです。
- 有線で映像信号を通す
- テザリングなどでWi-Fi相当の通信路を作る
- Wi-Fiなしの条件でも、通信路としてのWi-Fi相当を確保できるかが、快適さを左右します。
映らないときの対処法
最後に、うまく映らないときに確認したいポイントを、原因別に整理します。ここが分かると、現場での復旧が速くなります。
ネットワーク関連
-
iPadが本当にiPhoneのホットスポットに接続できているか
-
iPhoneとiPadが別のWi-Fiに分かれていないか
-
電波が混雑していないか、距離が離れていないか
権限・設定関連
-
iPhone側で画面収録のブロードキャスト開始をしているか
-
ローカルネットワークアクセスを許可しているか
-
アプリのバックグラウンド制限が強すぎないか
機材・互換性関連(有線方式)
-
iPadがUSB-Cで、表示アプリの要件を満たすかApp Store+1
-
キャプチャデバイスがUVC対応か
-
ケーブルの断線や接触不良がないか
-
iPadの電力不足でキャプチャが不安定になっていないか
黒画面になる(動画が映らない)
動画配信サービスなどは、著作権保護の仕組みで外部出力やミラーリングが制限されることがあります。この場合、ミラーリングの設定をいじっても改善しないことが多いです。対策としては、iPad側で公式アプリを使って視聴する、事前にダウンロードしてオフライン再生する、といった方向が現実的です。
以上を順に潰すだけでも、映らない状態の大半は切り分けできます。焦らず、通信・権限・互換性の順に確認すると復旧しやすいです。
まとめ
- Wi-Fiなしでも有線なら安定して画面を映せる
- iPadはHDMI直挿しでは入力になりにくい
- キャプチャデバイスはUVC対応が前提となる
- iPadOS 17以降とUSB-C iPadが有利な構成
- 表示アプリは外部入力対応を選ぶと運用しやすい
- HDMI変換アダプタは給電対応だと安心しやすい
- 動画配信はDRMで黒画面になる場合がある
- テザリングで同一ネットワークを作ると選択肢が増える
- AirPlay受信アプリは無線で手軽だが遅延が出やすい
- ミラーリングアプリは初回の権限設定がつまずきやすい
- DeskIn系は直結を売りにするが事前準備が鍵となる
- ApowerMirror系はテザリング併用が分かりやすい
- FaceTime画面共有は標準機能で始めやすい
- Bluetooth単体では画面ミラーリングは成立しにくい
- 映らない時はネットワークと権限と互換性を順に確認する